令和8年4月施行:改正医療法におけるオンライン診療の新制度と実務上の留意点

2026.03.20 UPDATE

1、法改正に至る経過

従来のオンライン診療は、医政局長通知である「オンライン診療指針」に基づき運用されてきましたが、近年の普及に伴い、その定義を明確化し、必要な手続きや設置基準を法的に整備する必要が生じました。これを受けて令和7年12月の臨時国会において医療法の一部改正法が成立し、オンライン診療が法律上に正式に位置づけられることとなりました。

2、改正の概要(何が変わったか)

今回の改正における大きな変更点は、医療法にオンライン診療が定義され、新たに専用の場所として「オンライン診療受診施設」を設置することが可能になった点です。さらに、これまで通知で定めていた指針を「オンライン診療基準」として厚生労働省令に引き上げました。これにより、監督権限が大幅に強化されています。

3、役割と責任の明確化

オンライン診療を行う医療機関の管理者は、医師への指導や受診施設の適合状況を確認する責務を負います。新たに創設されたオンライン診療受診施設は、診療所と比較して簡素な手続きで設置できる専用施設であり、清潔かつ安全で、外部から隔離された空間を提供・維持する役割を担います。

4、オンライン診療基準の変更点

医師は患者が事後確認できる形で医療機関名や担当医師名、問合せ先を通知することが明確化されました。また、受診施設において、同一医療機関の看護師等が指示に基づき診療の補助等を行う形態(D to P with N)が可能であることが整理されました。端末操作の補助については、医療従事者ではない事務員が端末操作の補助をどこまで行えるかという疑問に対し、端末操作の補助は想定されるが、医療内容に関わることや診療の補助はできないという見解が示されました。

5、医療機関の届出変更

医療機関がオンライン診療を開始・変更する場合には、届出内容に「オンライン診療を実施している旨」を追加する必要があります。既に実施している医療機関については経過措置が設けられており、令和9年3月末までに届出を行うスケジュールとなっています。

6、オンライン診療受診施設の届出事項

受診施設は設置後10日以内に都道府県知事への届け出が必要です。設置者は法人でも可能であり、管理者は常駐を求められませんが、緊急時に速やかに対応できる体制が必要です。

7、費用負担について

受診施設の利用に伴う場所代や利用料は、実費等を踏まえて適切に設定されることが求められます。診察代などの他の費用と区分して請求し、あらかじめ患者に分かりやすく示すことが望ましいとされています。

8、新制度と実務上の留意点

オンライン診療が健全に発展するためには、患者、医師、そして受診施設を運営する事業者の三者が、その価値に見合った対価を享受できる仕組みが不可欠です。現行の保険診療の枠組みに加え、自由診療(自費診療)を戦略的に組み合わせることで、高度なサービス維持と経営の健全性を両立させる手法は、今後有力な選択肢の一つとなるはずです。

ルカ行政書士事務所では、最新の法規制と医療現場のニーズを合致させ、先生方が安心して医療に専念できる体制づくりを支援いたします。